人が減る村で見つける未来の形
日本三大秘境が迎える岐路
椎葉(宮崎県)は、九州中央山地に位置し、豊かな自然環境と伝統的な文化が融合した地域です。宮崎市中心部から車を走らせること約2時間半の場所に位置し、先の見えないカーブが続く山道を進んだ先に椎葉はあります。日本三大秘境としても知られており、その美しい自然と古民家が織り成す風景で、まるで南米の秘境であるマチュピチュを彷彿させる場所です。
広大な村の面積の96%が森林地帯となっていて、残りの斜面を、家や田畑として利用しています。そこで生きる人々は、豊かな自然の恵みを活かしながら、山で生きる知恵と相互扶助の文化が暮らしに色濃く残る地域であり、多くの住民が厳しくものんびりとした時間を過ごされています。そんな椎葉の現在の人口は約2,200人ほどで、主な産業は農林業です。温暖な気候や豊かな土地を活かし、お米の生産も行われています。さらに椎葉では、焼畑といった伝統的な農耕方法が守られており、代々、昔ながらの知恵や技術が継承されています。
椎葉の歴史
椎葉は、平家の落人伝説が息づく地として知られ、その歴史は日本の伝統文化と深く結びついています。特に、神楽は椎葉に根付いた重要な文化であり、神への感謝や祈りを表現する神聖な舞として、村の祭事や地域の絆を育んできました。また、毎年開催される「椎葉平家まつり」では、平家伝説を背景にした壮大な演舞や歴史行列が繰り広げられ、多くの人々がこの地の歴史と文化を体感します。椎葉の豊かな歴史は、伝統芸能を通じて今も生き続けています。
取り組もうとしていること
椎葉では、時代の変化に柔軟に対応し、地域の根底にある文化や精神を次世代へと繋げることを目指しています。人口減少という課題に直面しながらも、伝統的な技術や価値観を再評価し、新たな形で息吹を与えることに取り組んでいます。神楽をはじめとする地域の表現に内在する身体性や精神性を探求し、その本質を明らかにすることで、地域の持つ深遠な魅力を再発見し、未来への道を切り拓いていこうとしています。
椎葉デジタル住民票NFT
現在、椎葉NFTの制作に向けた準備が着々と進められています。そのモチーフとして、地域に深く根付いた「神楽」の魅力とその身体性を探求し、伝統文化と新しいデジタル表現との融合を目指しています。このプロジェクトの進捗や最新情報は、𝕏(旧Twitter)やオンラインコミュニティ(Discord)で随時発信しています。NFTの制作プロセスには、誰でも参加することができるオープンな形式を採用し、コミュニティと共に創り上げるNFTを目指していますので、興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
ブログ
チーム紹介
村上健太
愛媛県出身。現在宮崎県椎葉村小崎地区川の口集落在住。幼少期を転勤族として過ごし、広い世界への憧れを胸に大学進学を機に上京。10年以上にわたる都会暮らしを経て、ワーキングホリデーでアイルランドとイギリスへ渡航。現地では自転車での一周旅やWWOOFを通じて田舎暮らしの魅力に惹かれ、帰国後は一度東京に戻るものの、椎葉の人々が持つ「たくましさ」に感銘を受け椎葉へ移住を決意。2017年4月より椎葉村の移住コーディネーターに着任。
地域おこし協力隊制度を活用し、移住支援の実績を積むとともに、大学のフィールドスタディや関係人口創出を目指した地域プログラムの企画・運営にも携わる。また、閉鎖寸前のキャンプ場の再生や古民家のシェアハウス化など、地域資源の再活用にも取り組んでいる。